ポスト産業資本主義の事例を用いた説明
 リンゴを買って食べた後でも、食欲とお金があればまた同じリンゴを買って食べる。「リンゴ」に何を当てはめるか、それが商業資本主義の説明になり、また産業資本主義の説明になる。
 しかし「リンゴ」を「情報」、たとえばコンピュータのソフトウェアで置き換えてみる。今、使っているソフトがあったとして、使用条件が同じであれば同一のソフトを買うことはあり得ない。(PCの機種が変わるとかソフトの使用者が増えるとかの使用条件の変化がない限り、二本目のソフトを買うことはあり得ない。) 
 このような特徴を持っているのがポスト産業資本主義で、情報革命、IoT、金融革命、グローバル化など、さまざまな切り口で論じられている。
 利潤は「同一」からは生まれない。「差異」から生まれる。生産コストと売り上げの間に差異があれば、利潤を生める。それが産業資本主義である。しかし、差異を生む公式がなくなって(弱体化して)しまうと、新たな仕組み(典型例:金融商品)が必要になる。
 産業資本主義の中核が工業的生産という意味でのモノだとして、ポスト産業資本主義では中核が工業的に生産されたモノから情報というモノに変化するとして、情報というモノを社会の中核として存立させ得る社会的な仕組みは何かが、解決するべき課題になる。その仕組みが差異に基づく利潤を生めば、それは経済学的に価値がある。それはイノベーションである。しかしこのことは、その仕組みが経済学的価値を生みさえすれば、それで必要十分なのかという課題も同時に生成する。

(大来)